2012年、中部運輸局等による「昇龍道プロジェクト」と同年に、民間企業を中心に観光の新しいマーケットであるインバウンド推進に注力していこう! と設立された当団体。
対象とする国も、当初はまず中国からという方針だったが、その後は東南アジア、欧州・北米を含む誘致へと舵をきり、海外向けの情報発信から、観光・インバウンドの最新情報や成功事例を互いに学び合うセミナーや、外資旅行社、ランドオペレーターへのセールスと交流、外国人目線による当地域の魅力アピール法の共有など、活動方針も変遷。時代の変化に合わせながら、節目の10年を迎えた。
この10年の中で、2019年までは日本のインバウンド業界は順調に伸張し、首都圏・関西圏・九州圏などに比してゆっくりと成長してきた感のある当地域においても、訪日客数は拡大。当団体も異業種からも含めて活動的な会員参加が増えていた。
しかし、2020年初頭に上陸したコロナ禍は、1年半を経過した今も収束のメドが立っておらず、宿泊・飲食・交通・観光業界はかつてない苦境に陥っている。
とはいえ、コロナ禍の鎮静化の決め手であるワクチン接種が日本でもようやく始まり、先の見通しがつく段階は近づいてきたとも考えられる。今後は、従来とは異なる活動の手法と計画が必要とされており、幹事会を中心に協議を重ねて方針を策定した。
1. 事業の活動方針
2020年度に続き、コロナ感染への懸念が拭えない今年度は、まだ実際的なインバウンド誘致のための事業は困難だと考えられる。また、「コロナ後」の観光の在り方も、これまでの常識にとらわれない新しい発想、仕組みが必要とされている。
そこで、協議のうえ、当地域の観光・インバウンド推進団体としての原点に立ち戻り、以下のように活動方針を定める。
- 中長期的な視野に立ち、観光・インバウンド業界の発展のために必要な情報の収集・提供と交換を、会員企業・機関相互の間で図る。
- WITHコロナ時代の観光では、最小規模の「県内(マイクロツーリズム)」のフェーズから再開し、「県境を越える(インバウンド)」フェーズ、「海外からのインバウンド」と回復。当団体としては、国内観光回復に協力しながら、海外インバウンド回復期に向けたビジョンを持って活動する。
- 民間主体でこの規模のインバウンド誘致団体は昇龍道エリアでは他にはないため、一部会員の会費軽減を図り、今後の回復に向けて協働する。
- 予情報提供を活動の中心に、予算規模を最小に絞った運営計画を立て、今年度の活動を進める。
- 相互入会の団体会員、経済団体、観光団体やアドバイザー組織、行政などのネットワークをさらに強化して、情報提供の幅を広げ、今後の活動連携につなげていく。
2. 事業の計画
- WITHコロナ時代の情報提供
インバウンドセミナーやフォーラムの開催は今年度もオンライン開催を中心とし、オンラインだからこそ可能な海外在住者(欧州・北米・アジア)の参加による現地事情の共有、情報交換のフォーラムも開催する。
また、かねてから好評のネット情報配信では、 「やまとごころ通信」をはじめ、(一社)日本観光振興協会中部支部、(一社)愛知県観光協会、名古屋商工会議所等地元団体と、有力ランドオペレータが集う(一社)アジアインバウンド観光振興会(AISO)などから発出される情報配信を継続する。
さらに、愛知県・名古屋市他行政の観光推進部署とも連携を強化、地域業界の活性化を支援する。
- 誘致推進ワーキンググループの活動はコロナ禍の推移を睨みながら
ワーキンググループのリーダー企業である名古屋鉄道殿のネットワーク活用によって、単独企業では不可能な旅行社やランドオペレーター等へのダイレクトセールスを実現できることは当団体のメリットの1つでもある。2020年度に続き今年度も活動休止の可能性が高いが、ワクチン接種の広がりによってコロナ禍収束のメドが立てば、年度内の再開も検討する。
- 一部会員の会費減免
観光関連業界の現状を鑑み、2020年度臨時的に導入した会費制度を継続する。
幹事会メンバー企業・団体、および賛助会員企業・団体については、既定会費の100%納入をお願いすることとし、その他の正会員に関しては、既定の年会費50,000円を10,000円に減免し、今後の回復・発展への備えとしていただく。
- コロナ後に備えた商品造成を
いずれ収束に向かうコロナ禍のその先を見通した計画が、観光関連業界には必要と考えられる。
そのために、以下のような活動で成果をめざす。
- 地域に予定されている今後の観光関連の計画についてよく知り、また一般社会にもよく伝えて期待を抱いていただく。
- 地域の魅力的な観光資源を発掘し、商品化する活動を支援する。
- 「コロナ前」とは異なる観光・インバウンドのビジョン、戦略策定に必要な情報を提供する。
- ジブリパークOPENへの備え
2022年に第1期、2023年にフルオープンの「ジブリパーク」。自然を愛し持続可能な地球と平和を願う世界中の人々の共感を呼ぶはずで、2005年に愛・地球博を開催した愛知らしい展開とも言える。
また、一施設だけを目的地とするのではなく、愛知のみならず近隣地域全体の観光集客につなげていくことが重要。そのためには当団体としても、愛知県庁、中日新聞社、各旅行社はじめ、自治体やさまざまな企業・団体と連携し、具体的な商品造成を呼びかけていく。